前回の山口市で開催された中四国大会の高学年の部では、準々決勝から決勝戦の7試合すべてが主審判定という凄まじい戦いが繰り広げられた小学生高学年型の部だが、今回はどうか?前回は宮島口支部の大杉幸蒔が優勝、荘川光葉が3位と素晴らしい成績を挙げた。今回も光葉の弟、悠晟を筆頭に廿日市、宮島口から5名の精鋭がエントリーした、低学年に比べれば少ないが全員茶帯以上の実力者だ。
しかし全国大会と同じく、エントリー人数が最も多く、勝つのが難しい高学年の部。さすがに苦戦を強いられベスト8には安芸地区本部からは荘川悠晟(宮島口)1名しか残ることができなかった。
悠晟は春の地区大会を制して、6月の昇段審査で少年初段になった。しかし私の自分ルールでは、小学生の黒帯はあくまで特例であり、全国大会か中四国大会で入賞した経験がないと昇段させないとしていた。しかし悠晟は毎日のように練習し、誰よりも頑張っており実力もめきめきとつけて、全国大会の入賞者に匹敵する実力をつけたと判断して昇段を許した経緯がある。また私の中でも今年の全国大会で少なくとも入賞し、悠晟がそれを証明してくれると思っていた。賞状が取れなかったら黒帯は返上とまで言って過激なハッパをかけていた。
しかし全国大会ではコート決勝で無念の敗退。誰よりも努力していただけに本人が一番悔しかっただろう。
9月の錬成大会では後輩の田中悠介を退けて春秋連覇を果たした。ここでは一本も旗を上げさせずに優勝するという目標をたてていたようだが、達成できず優勝したにも関わらず悔しがっていた。
前置きが長くなったが、唯一勝ち残ったベスト8。負けられないプレッシャーはあるが、落ち着いた半月を演武して準々決勝を突破。準決勝から指定型は鎮東に変わるが、これも彼は得意としており、普段より高い天井蹴りも見せて快勝。危なげなく決勝戦への進出を決めた。第2シードに推された実力が間違っていなかったことを証明した。
ついにメジャー大会の決勝戦に立った悠晟。仲間から一段と大きな声援が飛ぶ。決勝戦はI田日葉里(広島地区・本部舘道場)との対戦。ノーシードから勝ち上がってきた好選手。準々決勝のY田駿一(鳥取)との試合は際どかったがいい試合だった。
悠晟も決勝戦のスポンジマットは初体験だった。途中滑ったそうだが、大崩れせず周りからはそうは見えなかった。見歳よりは対応していたようで、用心しながらも大胆な鎮東を披露して演武を終えた。相手のI田さんもミスなく演武を終えた。

判定旗はさっと悠晟に上がり、前回の先輩、大杉幸蒔に続き、見事宮島口支部2連覇となる中四国の頂点に立った。前回の大杉幸蒔は苦しみ抜いての優勝だったが、今回の悠晟は安定した戦いぶりで勝ち抜いた印象が強い。
全国大会では悔しい思いをしたが、今大会では実力をいかんなく発揮し、またそれが十分評価されて最高の結果を得ることができた。
実は大会直前には、またも入賞できなかったら黒帯は剥奪!と脅し?をかけていたが、見事半端ないプレッシャーをはねのけての優勝。黒帯として十分な実力があることを自ら証明してみせた。
宮島口支部の主将として、見歳とともに決勝戦で戦う姿、表彰式の壇上で宗家先生から直接賞状を手渡される姿を、多くの後輩たちに見せることができたのは、後に続く者たちに、大きな勇気を与えたのではないだろうか?指導者として二人には感謝しなければならないだろう。
