全国でもエントリーが多く、最も層が厚いと言われるクラス。安芸地区大会でもその例に漏れず、トーナメントの早い段階から全国大会の経験者などによる熱戦が繰り広げられる。
今年低学年から上がってきた4年生には、全国大会など大舞台で入賞経験を持つ強豪も多く、上級生に通用するかが見所。
ベスト8ぐらいからは好カードの連続。まずは昨年の全国大会低学年で、初出場ながら敢闘賞を受賞した菅桜子(宮島口)が、安芸地区大会の上位常連で6年生の先輩、大杉幸穂(宮島口)に挑んだ。
いつも全力を出し切る桜子に対し、スロースターターの幸穂は初戦から徐々にテンションを上げてくるタイプ。序盤の試合ぶりから桜子有利かと思えたが、相手の実力を認めていたのか?幸穂はここで一気にギアチェンジ。接戦ながら勝利し準決勝へと駒を進めた。敗れたが桜子も先輩相手にほぼ互角の健闘だった。
準決勝には宮島口支部の4名が進出。2試合とも6年生対4年生のカードになった。
まずは昨秋の準優勝者で第一シードの田中悠介に弟の淳介が挑んだ兄弟対決。弟の淳介は低学年時代には多くの大会で上位入賞を繰り返してきた実力者。中四国大会でも入賞経験を持っているという意味では兄を上回っている。
今大会最注目のカードとも言えた試合。兄の悠介にとっては何が何でも負けられない勝負だっただろう。指定型半月で争われた勝負は火花の出るような接戦。予想通り副審の旗が2対2と割れるスプリットデシジョン、主審の手は兄の悠介に上がり、決勝への進出を果たした。しびれるような勝負を見せた二人は、この一戦の経験で大きく成長したことだろう。
もう一試合は前述の大杉幸穂に4年生の荘川見歳が挑む。挑むと言っても見歳は昨年の全国大会3位に中四国大会優勝と低学年とはいえ他の追随を許さない実績の持ち主。今大会でも幸穂を押さえて第2シードに推されていた。
体格も型の流れも正反対のタイプである二人の試合は審判泣かせ。しかしスロースターターの幸穂もこの段階ではほぼフルスロットル。見応えのある勝負となり、ここも副審の旗が割れるスプリットデシジョン。またも主審の手は6年生に上がり、準決勝は2試合とも先輩が後輩の挑戦を退けた形となった。
3位決定戦は4年生対決。実績のある二人の勝負はいつも接戦。実績では見歳が上回るが、淳介は見歳キラーと言えるぐらい、ほぼ互角の対戦成績を残している。
この日もやはり副審の旗が割れ主審判定となったが、淳介の勝利。改めて二人の実力差が紙一重であることを再認識させられた一戦だった。
決勝戦は低学年時代から鎬を削ってきた6年生同士の対戦。低学年の頃は幸穂が常に勝利していたが、高学年になってからは実績で悠介が上回っていると言える。
指定型型は鎮東。悠介の型は指導者の教えを忠実に守った教科書とも言える演武。文字で書くのは簡単だが、ここまでになるまで、並ではない努力をしている。
ここまで接戦をものにしてきた幸穂だったが、ここは悠介の底力に軍配が上がり、悠介が苦しみながらも優勝を果たした。
中四国大会を制した先輩の荘川悠晟が抜けた後釜を誰が担うのかが注目された今大会で、その有力候補筆頭だったプレッシャーはかなりのものだっただろうが、それを見事に証明したのはさすが。まもなく開催される国際親善大会では実績でも先輩に肩を並べることができるか?彼ならやってくれそうな気がする。